紅茶専門店 ティーズリンアン 店主のブログ

紅茶専門店の店主が語る 紅茶の真実

タップに行き始めました。

      2018/02/20

最近タップダンスのレッスンに行っています。最近と言っても、もう一年が過ぎました。
一年で踊れるようになったかといえば、まだまだ恥ずかしくて「踊れます。」とはとてもとても言えない状態です。
とはいえ、それなりにステップは踏めるようにはなっては来ているのですが。

というのが今回の話の主題ではなく、タップを通して茶園のシステムというかスリランカやインドなどの社会構造というか、その茶園のシステムの根幹を語ってみようという試みです。

そもそもタップを習おうと思ったのは、2000年のスリランカ旅行でのお話です。
その時はディンブラのラデラ茶園に泊めていただいたのですが、ラデラ茶園マネージャーのサマンと、ウバ・カールトン茶園のオーナーのローハンとが盛り上がってしまって、ピアノは弾くはギターは弾くは、最後にはダンスパーティーになってしまったのです。

茶園マネージャーたちは基本的にスリランカの上流社会の出身者がほとんどです。
そのスリランカはイギリスの植民地でした。
そしてイギリス人たちは自分たちの生活様式をそのまま取り入れていたのです。

つまり茶園の運営システムというのは、イギリスの領地制度そのものといってもいいのです。
マネージャーはアッパーステア。つまり階上の人。その領地の主人に当たります。
そして茶園労働者がそのまま労働者階級で、茶園バンガローは階下の人達、サーバントによって維持管理されています。
ちゃんとシェフがいて使用人たちがすべての事をしてくれます。
私たちが泊まれば、それは主人の賓客の扱いになるのです。

社会システム自体がイギリスのジェントリー、上流階級のシステムをそのまま(といっても随分と崩れては来ていますが)取り入れていますので、上流階級である茶園マネージャーたちは当然のごとくピアノも弾ければ社交ダンスも、ワルツも、タンゴも、時にはヒップホップダンスも踊れてしまうのです。

泊めていただいた私は...というと、社交ダンスも何も、ダンスなんて言うものでまともに踊れるものはありませんでした。
それでは格好がつかない。
茶園マネージャーたちと対等に話をするためには、ダンスの一つも踊れないと困ることがあるのです。

ということで、「いつかダンスを習いたい。」「茶園で突然ダンスパーティーが始まっても恥ずかしくないようにしておきたい。」と、ずっと思っていました。
そういう意味ではタップダンスではなく、本当は社交ダンスを習うべきです。基本の基ですから。基本的に社交のダンスパーティーですからね。

ただ、今、日本で社交ダンスを習っているのは競技ダンスをしている人は別として高齢者が多いのです。
特にリンアンの近くの社交ダンスの教室はほとんどが高齢者。
高齢者のダンスがいけないわけではなく、非常に良いことなのですが、レッスンに行くモチベーションをより高めるためには、「カッコイイ!」これが必要だと思いませんか。^^;;
せっかくやるなら、「おお~~!カッコイイ!」って言われたいじゃないですか。それはモチベーションになるじゃないですか。
それをずっと思っていたのですが、そこへ昨年のお正月に娘が見せた映画が「雨に歌えば。」


このジーンケリーのタップダンスを見て長年やりたかったタップダンスの教室を探し始めたのです。
そしたらさほど遠くないところにタップダンス専門のスタジオR3があるじゃないですか!
で、とりあえず体験に行って、そのままレッスンを始めてしまったのです。

ところが昨年行ったスリランカの茶園は様子が全く変わっていました。

2009年に内戦が終わったスリランカは今大きく変貌しています。
一番大きな変化は観光客の増加です。

南の楽園のスリランカ。数多くの世界遺産があるスリランカ。紅茶と宝石の国スリランカ。
そこは世界有数の観光地になれる素質を持っています。
それが内戦によって観光客がほとんどいなくて、イギリスの古き良き文化がそのまま残っていたのです。

それが内戦の終結によって大きく変貌してしまいました。
茶園で泊めてもらうのも、以前は大歓迎でほとんどただのような価格で泊めていただいた上に、茶園マネージャーの直接の歓迎があり、茶園マネージャーと飲み明かすのが普通だったかってのスリランカの茶園。
それが高級ホテルを上回る宿泊料となり、茶園マネージャーは出てくることもありません。

茶園マネージャーと飲み明かすことがなければ、もちろんダンスパーティーにもなることはありません。

私は何のためにタップダンスを始めたんでしょう??

ま、スリランカの茶園でのダンスパーティーが夢物語になったとしても、いつか、ティーボードの主催のパーティーで。
もしくはインドの茶園でダンスパーティーが始まるかもしれません。

そんな時を夢見て、「踊れる紅茶屋」を目指して今日もレッスンに行っています。

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