紅茶ベースのスポーツドリンク
2018/07/31
最近、フィットネスジムに行き始めました。フィットネスに欠かせないのが水分補給。
そこにこの猛暑。脱水症状も気になり、いかに効率よく水分を取るかが、大きな問題となっています。
スポーツドリンクが良いのは分かっていても、毎日では費用も掛かります。
そこで自作することにしたのです。
で、思いついたのは、「そういえばマラソンランナーのスペシャルドリンクには、紅茶ベースが多い。」という事実。
だったらおすすめレシピを作って、皆さんにも飲んでいただけばいいじゃないか。
という事で、いろいろ調べて紅茶ベースのスポーツドリンクを作ってみましたので、そのレシピを公開します。
材料 | 分量 |
紅茶(アイスティー:薄目がお勧め。推奨茶葉:アッサム1405) | 1L |
砂糖(又はブドウ糖) | 大さじ6(54g) |
食塩 | 小さじ1/4(1.5g) |
このレシピは、福井でスポーツ栄養士をしてアスリートの栄養指導をしている 株式会社アストリション の 盛岡 良行 さんのレシピを参考にアレンジさせていただきました。
https://athtrition.com/170402/
このページの、「基本のレシピ」の水をアイスティーに変えて、レモン果汁を入れないレシピになっています。
レモン入りも試したのですが、どうも紅茶との相性が良くないようです。
この辺りは嗜好の問題ですので、レモン入りも試してみるといいでしょう。
ここでご注意いただくべき事は、実は、熱中症対策で作る時には、紅茶は推奨されない場合が有る事なんです。
よくご存じだと思いますが、紅茶にはカフェインが含まれています。
そのカフェインは、利尿作用を持っていて、体の水分を排出する働きがあるのです。
ですから、その量には注意が必要です。
例えば、宮崎江南病院の資料には、はっきりと「熱中症にNGな飲み物」として紅茶があげられています。
https://miyazaki.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2017/06/health-sem_PPheat.pdf
ここには、利尿作用によって脱水症状を悪化させる可能性を指摘しています。
でも、紅茶とハチミツをベースにしたスペシャルドリンクは、マラソンランナーのドリンクとして定番中の定番と言ってもいいのではないでしょうか。
長時間走るマラソンでの発汗は、半端な量ではないはずです。脱水症状の危険性も非常に高いはずです。
それでも紅茶ベースのスペシャルドリンクを準備するランナーが多いのには理由が有ります。
実は、カフェインには、明らかに運動能力を向上させる効果があるのです。
2003年まで、カフェインはドーピングの禁止薬物に指定されていました。
禁止薬物の指定を解除された現在でも監視の対象となっており、ドーピング検査ではカフェイン量が測定され、過剰摂取が無いか監視されています。
世界アンチ・ドーピング規程2018 年禁止表国際基準 公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構
https://www.wada-ama.org/sites/default/files/resources/files/2018_prohibited_list_japanese.pdf
28ページに、禁止表に掲載されていませんが、濫用のパターンを把握するために監視する旨が明記されています。
カフェインはドーピングに使えるほど、運動能力を高める効果があるのです。
しかし、マラソンの途中でトイレに行っていてはロスタイムになります。
そのメリットとデメリットを推し量って、紅茶の濃さを決める事になります。
実は、カフェインに対する感受性は非常に大きな個人差が有ります。あり過ぎて一日摂取許容量(ADI)を制定できないほど個人差があるのです。
一杯のコーヒーでも夜眠れなくなる人がいる一方で、どれだけ飲んでもぐっすり眠れる人もいます。
カフェインに対する感受性の個人差はそれほど大きいのです。
ですから、紅茶をベースにしたスポーツドリンクも、紅茶の濃さをどれくらいにしたらいいのかは、一概にいう事が出来ません。
強いて言えば、紅茶で夜眠れない人は出来る限り薄目で。どれだけ飲んでもぐっすり眠れる人はある程度濃い目でもいいでしょう。
今年の暑さは「命の危険がある暑さ」とか「災害級の暑さ」といった、今までに無い表現をされ、実際に熱中症で多くの方が亡くなっています。
もちろんですが、熱中症による脱水症状を予防するには、紅茶の入っていない普通のスポーツドリンクや、経口補水液が最も有効です。
紅茶ベースのスポーツドリンクが有効なのは、運動能力を高めたい場合です。
でも、紅茶好きなら、やっぱり紅茶ベースのスポーツドリンクを楽しみたいですよね。
普通のスポーツドリンクほどではないにしても、紅茶だけを飲んでいるよりも、糖分や塩分の入った紅茶ベースのスポーツドリンクの方が良いのは当然です。
濃い目の紅茶ベーススポーツドリンクはお勧めしませんが、楽しみながら水分補給をして、この猛暑を乗り切りましょう。
==追記==
発汗によって失われた中には、このスポーツドリンクでも補給できない成分も有ります。
それはカリウム。
この猛暑は、カリウムも意識的に摂取しましょう。
で、カリウムの多い食材は海藻類なんですが、海藻類って、そうそう大量に食べられるものでは有りません。
そこでお勧めなのが、バナナ なんですね。
「先生!バナナはおやつですか? お弁当ですか?」というのは、遠足のおやつの金額を決められた子供たちの定番の質問のように、バナナは食事時にも、間食としても食べる事が出来、量もそこそこ食べられます。その上、カリウムの加え、糖分も取れますので、スポーツでの補助食品としては非常に優れた食べ物です。
フランス中を自転車で駆け抜ける競技・ツールドフランスの選手たちがバナナを持ち歩いているのは、こういう理由なんですね。
スポーツドリンクに加え、バナナもうまく使って猛暑を乗り切りましょう。
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==追記2==
スポーツドリンクによる脱水症の予防は、汗によって多くの水分、塩分が不足した場合に有効です。
自作してみるとよくわかるのですが、スポーツドリンクには非常に多くの糖分が含まれます。
その糖分は消費したエネルギーの補充の役割を果たしますが、発汗が無い場合に摂ると、余分な糖分と塩分の摂取となり、血圧の上昇、血糖の上昇に繋がりますので、ご注意ください。
スポーツドリンクでの塩分、水分の補給は、あくまで汗をかいた水分、塩分の補給として利用しましょう。
汗もかいていない場合には熱中症の予防にもなりませんので、ご注意ください。
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因みに、レシピの引用の許可をいただいた 株式会社アストリション の 盛岡 良行 さんのサイトは凄い情報量です。
管理栄養士の知識を、それもスポーツに特化した知識を存分につぎ込んだサイトになっています。
例えばカフェインを取る事のメリット、デメリットはこのページ。
https://athtrition.com/170330/
各社のスポーツドリンクの比較と選び方はこのページ。
https://athtrition.com/170408/
経口補水液の比較では、「美味しいのはどれ?」なんて情報まで書かれています。
https://athtrition.com/170331/
その他、アスリートの食事とか、科学的見地に基づいた有益な情報が山盛りですので、ぜひ訪れてみてください。