紅茶専門店 ティーズリンアン 店主のブログ

紅茶専門店の店主が語る 紅茶の真実

ジュンチャバリ茶園の6つの季節

   

2019年に私がジュンチャバリ茶園を訪れてから、ジュンチャバリ茶園のお茶を、「ファースト」「セカンド」というインド式の呼び方でなく、「初夏」「秋」と言った呼び方で読んでいるのに気づいていらっしゃるでしょうか。

(例外的に2020年の春のお茶は、ダージリンファーストフラッシュの代わりとして輸入したため「First Flash」を使いました。)

これは今、ジュンチャバリ茶園がインド式の季節分けを止め、独自の6つのシーズンに分けて生産しているためです。

その事に付いてジュンチャバリ茶園のオーナー:ローチャンさんにお聞きしましたので、そのメールをご紹介します。

英語が不得意な私が、Google翻訳の助けを借りて訳した文章ですので、多少の誤訳はご容赦ください。
———– ここから ローチャンさんからのメール ——————–

6つのシーズンについてお話しする前にこのシーズンを採用した経緯についてお話ししましょう。

私達は数年前、春のお茶がかなり変化している事に気づきました。
いわゆる「First Flash」の時期に摘み取られたお茶と、3~4週間後に摘み取ったものが全く違っていたのです。
1~2年の間、私達は内部だけでなく、いくつかの顧客ともいろいろと話し合ってみました。
その結果、私達はイギリス人が残したインド式の季節によってお茶を説明するのは適切ではないと判断したのです。
私達にはそれらを「First Flash」「Second Flash」と呼ばなければならない理由はありません。
これらのニュアンスは19世紀の物であり、今とは全く違います。
そして私達ネパールはイギリスの支配下にいたわけでも有りませんから、イギリス式で呼ぶ必要はなにも有りません。

でも、私達は新しい用語を考えなければなりませんでした。
そこで私達は日本と中国の二十四節気とネパールの6つの季節に触発されました。
ネパールの6つの季節、特に日本の二十四節気はヨーロッパの4つの季節の表現より遥かに良い微妙なニュアンスが有りました。

お茶は典型的な季節のある食材です。
季節ごとに異なる香り、色合い、そして異なる味が有ります。

私達はネパールの文化と日本の文化に触発されて、お茶に次のようなラベルを付けることにしたのです。

「早春:EARLY SPRING」
4月1日以前に積まれたお茶です。
中国の清明節の前に前に摘まれたお茶の明前茶にヒントを得ています。

「春:SPRING」
4月1日以降、もしくは清明節以後に摘み取られた茶葉で摘まれた後の休眠サイクルに入るまでの間に摘まれます。

「初夏:EARLY SUMMER」
休眠サイクルから目覚め、新芽が伸び始めてから雨期に入るまでに摘まれます。

「夏:SUMMER」
雨期が明けた後に摘まれます。この時期お茶の新芽は急激に伸びるのです。

「秋:AUTUMN」
9月の最終週か10月の初めころから11月終わりまでに摘まれます。

「冬:WINTER」
12月1日以降に摘まれた茶葉です。冬の茶葉の傾向が見られる時には11月の終わりから摘み始める事も有ります。

これらの紅茶はこんな特徴を持っています。
もちろん手揉みの紅茶も同じような特徴を持ちます。

「早春:EARLY SPRING」
柑橘系を思わせる花のような香りを持った非常に優しい、柔らかい葉です。
優しく揉み、酸化発酵も浅く注意深く製茶されます。
早春の香りを立たせるため、火入れも浅めにされます。

早春のお茶は例えば、HSP、HW、HT等です。
水色は緑が勝った白色から、オフホワイトと言った感じです。

「春:SPRING」
優しく柔らかい茶葉です。
フルーツを思わせる柑橘系の強めの香りがします。
早春のお茶よりも酸化発酵を深めにし、早春の紅茶より生産量も増えてきます。

春のお茶はHSPとHRHTですが、HEG や限られた量のHIBを作る事も有ります。

水色は淡黄色で、少しゴールデンになります。

「初夏:EARLY SUMMER」
非常にフルーティーで刺激的ともいえる香りを持ち、強いフルボディーの紅茶です。

HRHT、HBO、HRR、HMD、HIB等がこの時期に作られます。
水色はきれいなオレンジ色で、茶殻の色は銅色になります。

「夏:SUMMER」
刺激的なフルーティーさを残しながら、土にも似た皮調の色となり、強いフルボディーの紅茶となります。
夏のお茶は、主にHIBとHRHTですが、HRRとHMDも作られます。

水色は赤銅色または明るいルビーの様子を示します。

「秋:AUTUMN」
桃や桜実を思わせ、なおかつウッディな際立った香りを持ちます。
秋のお茶の例は、HRHTとHBO。そしてHRRとHMDの季節が終わります。
そして水色はウイスキーのような金色がかったオレンジ色です。

「冬:WINTER」
滑らかでまろやかで、ココナッツ、ライチ、桃、アプリコットのような香りを持っています。
冬のお茶の例はGHRHTとHRHTです。

水色は秋よりさらに金色がかったオレンジ色になります。
———– ここまで ローチャンさんからのメール ——————–

読んでいて、見慣れないお茶の名前の略語が有ったと思います。
これらはお茶のグレード、もしくは分類名と言ってもいいでしょう。

インド紅茶の GFTFOP1  等に相当するものです。

紅茶のグレードはイギリス人が慣習として使っていた用語がそのまま使われています。
でも、ネパールがそのイギリス式:インド式に拘る事は無いという事で、ジュンチャバリ茶園はグレード名:分類名もヒマラヤ独自の分類名を使っています。
リンアンで輸入しているのは主に HRHT:Himalayan Royal Handcrafted Tips とHOR:Himalayan Orange ですが、それ以外の分類名も記載しておきます。

HSP「Himalayan Spring」
HEG「Himalayan EverGreen」
HIB「Himalayan Imperial Black
HBO「Himalayan bouquet」
HRR「Himalayan Royale Ruby」
HMD「Himalayan MoonDrop」

なお、写真はジュンチャバリ茶園で最も特徴的な作業、眼と手によるグレーディングの様子です。
今、ジュンチャバリ茶園の紅茶の90%はこうやって人の目で見て、人の手によって美味しい茶葉だけがより分けられて届けられます。

逆に言えば、この手間のかかる作業を始めたため、手揉みの紅茶の生産を終えたのだと理解しました。
HRHTはかって、「Hand Rolled Himalayan Tips」でした。
でも、ジュンチャバリは、機械揉みで手揉みに近い味わいの紅茶を作る製法を編み出してくれました。
それが現在のHRHT「Himalayan Royal Handcrafted Tips」です。

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