紅茶が先か、ミルクが先か?
紅茶が先か? ミルクが先か?
この問題は長年議論が続いている問題です。
「2003年、王立化学協会が出したプレスリリースで結論が付いた。」と言う人も、日本にはいらっしゃいますが、9月26日のブログにも書いたように、あのプレスリリースは、王立化学協会が公式に、そして極めて真面目に出した ジョーク です。
あのプレスリリースを持って「結論が付いた。」と主張する場合は、王立化学協会に敬意を表して、たっぷりのジョークを入れ込んで主張しましょう。
それが王立化学協会に対する礼儀です。
「紅茶が先か? ミルクが先か?」の議論は、単に議論好きなイギリス人がどうでもいい問題で、議論:ディベートを楽しんでいるに過ぎません。
ここでは非常に無粋な事をしてしまいます。
その議論に対して、統計学的手法を持って、現実を突きつけてしまいましょう。
イギリス人の皆さん、せっかく議論を楽しんでいるのにごめんなさい。
もっとも、イギリス人の皆さんは、そんな事にもへこたれず、未来永劫、「紅茶が先か? ミルクが先か?」の議論を、イギリスが滅びるまで続けるでしょうが。
最初に断っておきます。
これは、統計学的処理を行って結論を導き出すものではありません。
あくまでも、「統計学 的 手法」で現実を突きつけるものです。「的」です。
そもそも私は統計学が苦手です。
一応、工業大学で機械工学を学んでいますので、統計学の講義は聴いています。
しかし、高校を出て統計学の基礎も知らない学生に、公式の解き方を板書きするだけの先生だったため、統計学の基礎の部分は全く理解できていません。
ですから、「的」です。
ま、前置きが長すぎますが、少なくとも「統計学的」を名乗るのであれば、統計学的処理が出来そうな母集団が必要です。
母集団は多ければ多いほど、統計学的には結果の信憑性が増します。
その母集団をどうやって集めればいいか?
今は、Google という非常に便利なデータベースが存在します。
このデータベースからデータの抽出を行います。
具体的な手法をお伝えしますので、その通りやってみてください。
まず、Google をクリックして検索画面を開きます。
検索窓にミルクティーの英語の表現の 「Tea with milk」を入れて検索してください。
次に上の方に有る「画像」をクリックします。
すると、「Tea with milk」に関係有りそうな画像がたくさん出てきます。
これを母集団にしましょう。
これで、「ミルクが先」の画像と、「紅茶が先」の画像の数を数えて統計学的処理を施せばいいわけです。
今現在で私が検索してみた画像をアップしておきます。
紅茶とミルクを同時に入れているジョーク的な画像もありますが、まぁそれはジョークとして省いて、ミルクが先の画像と、紅茶が先の画像を数えていきま.....??
数えるまでもないですね。^^;;
圧倒的に、紅茶が先で、ミルクが後の画像が多いですね。
つまり、統計学的処理をするまでも無く、「紅茶が先」が多いのが現実のようです。
実はこれ、当たり前すぎるくらい、当たり前のことなのです。
お茶は世界中で主人が自らサービスをするというおもてなしの文化を持った飲み物です。
「紅茶の席の母親役:マザーとは」のブログでも書いたように、マザーは、お客様がミルクティーがお好みであれば、濃い紅茶にお客様のお好みの量のミルクを注ぎ、お砂糖の量も聞いてかき混ぜてから「どうぞ」といって渡すのです。
ほら、サッチャー首相もミルクピッチャーより先にティーポットを持っていますよね。
ここでお客様のお好みのミルクの量を注ぐためには、お客様の顔を伺いながらミルクを注がなければなりません。
お客様は、「そこまで。」と、自分の好みを伝えなければなりません。
これが出来るのは、「紅茶が先」しか、有り得ません!
つまり、社交の紅茶では、「ミルクが先」は、有り得ないのです。そんな事は自分の好みをお客様に押し付ける行為であって、絶対にしてはいけない事なのです。
もし、ミルクを先に入れたとします。
お客様の好みの量より少し多くミルクを入れていたとします。
その時、お客様の好みの濃さに「紅茶で調整」すれば、お客様の好みになった時には、紅茶はカップから溢れ出ているでしょう。
もし、ミルクが若干少なかったら、お客様の好みの濃さになったとき、紅茶はカップの半分くらいしか入っていないでしょう。
そんな事は有り得ません、やっちゃいけない事です。
昔から、量を調整するときは、分量的に少ないものを後から入れて調整するのが当たり前過ぎるくらい当たり前の話なのです。
スープでもそうですよね。
もし、塩を先に入れたらどうなるでしょうか?
出来上がりの量は、食べきれないくらいお鍋から溢れるか、お腹がすき過ぎるくらい少ないかのどちらかになってしまうでしょうね。
もちろん、おもてなしの紅茶ではなく、自分が飲むための紅茶であれば、それはミルクの量が判っていますから、ミルクを先に入れても何も問題はありません。
そう考えてみると、2003年の「完璧な紅茶の淹れ方:王立科学協会のプレスリリース」も、おもてなしの社交の紅茶ではなく、自分のための一杯だという事がわかります。
それが証拠に、
「最高の結果のためには、あらかじめ冷たい雨がひどく降る中で少なくとも30分は重い買い 物袋を担ぎ、犬を散歩させる。この準備は紅茶の味をこの世のものとは思えないものに変える。」って書かれているでしょ。
もしお客様のための紅茶であれば、お客様に、冷たい雨がひどく降る中で少なくとも30分は重い買い 物袋を担ぎ、犬を散歩してもらわねばならなくなります。
やっぱりそれも、有り得ない話ですよね。
もうひとつ有り得ない話。
この写真のようにカップにティーバッグでミルクティーの場合も、「ミルクが先」は、有り得ません。
という事で、議論は別に、現実的にはほとんどの人が、「紅茶を先に」入れているのです。