まず香り、次に色が出て、最後に味を出して始めて 紅茶の完成
2016/01/13
今年、元旦。尾張旭市のシンボルタワースカイワードあさひの展望室で御来光イベントが有りました。そこで紅茶のサービスをさせていただいたのです。
入場者は150名。御来光は新年で初日の出が昇るその一瞬だけですから、他のイベントと違い参加者が一時に集中します。
もちろん早めにいらっしゃる方も多く、紅茶も順次出させていただくのですが、それでも150名の人が集中するのは避けられません。
ですからティーポットで丁寧にいれて紅茶をおだしする事は出来ず、必然的に紙コップにティーバッグを入れてお湯はセルフサービスでという対応になってしまいます。
で、見ているとほとんどの皆さんが紅茶の色を見て、色が出るとティーバッグを出してしまわれるのです。
「3分ぐらい蒸らした方が美味しいですよ。濃ければ薄めればいいですから。」と話させていただくのですが耳に入る方は少なく。
一般の方は、「色が出た。=紅茶が出た。」という認識なんですね。
今まで「美味しい紅茶をいれるにはどうしたらいいのか?」に必死になっていたため、私には、「色が出た。=紅茶が出た。」という認識は全くありませんでした。
というか、一般の方がそういう認識であるという事さえ気づいていませんでした。
ティーポットに熱湯を注ぐとよく分かるのですが、お湯をさした瞬間から香りが立ち始めます。
それは本当にお湯が茶葉に到達すると同時です。それまで紅茶の香りは茶葉の微かな香りしか無いため、お湯をさした瞬間に立ち上る香りが人間には最も強く感じられます。
それこそそれは強烈な紅茶の香りです。
そして紅茶の色はしばらくすると出てきます。
紅茶の製法の一番の特徴は加熱前に揉捻する事。
加熱によって酸化酵素が壊れる前に揉捻することで、細胞液の中にあるタンニンが酸化酵素と出会い、紅茶の成分に変わっていくのです。
結果的に紅茶の茶色い成分は葉の表面に多く付くため、紅茶の色は緑茶や烏龍茶に比べ比較的早く出てきます。
でも、紅茶の美味しさの成分はそれだけではなく、茶葉の奥にまだ多く潜んでいるのです。
そしてそれらが出てくるには最低でも3分くらいの蒸らし時間が必要なのです。
リンアンでは、顆粒状に製茶されたCTCでさえ3分30秒の蒸らし時間を取っています。
もちろんCTCは抽出が早くできますから、1分半もすればそこそこ美味しい紅茶を楽しむことが出来ます。
でも、最低でも3分は蒸らして欲しいのです。
出来れば3分半以上。ダージリンなどのOPサイズの大きな葉は5分以上。美味しさのピークはそこでやってきます。
濃ければお湯で飲める美味しさまで薄めてください。紅茶は薄めることで美味しさが半減することはありません。
でも、一般の人は、「色が出た。=紅茶が出た。」と思っていらっしゃるのですよね。
普通の方はそういう「色が出た。=紅茶が出た。」という認識だという前提でお話をすれば、より分かっていただけるのですね。
ひとつ良い経験を、良い勉強をさせていただきました。