紅茶専門店 ティーズリンアン 店主のブログ

紅茶専門店の店主が語る 紅茶の真実

エリザベス女王陛下はジャムが先、上にクリームのコーニッシュスタイル

   

ジャムを先に載せるべきか、クロテッドクリームを先に載せるべきか?
これはイギリスでも長年議論されてきた問題です。
クロテッドクリームの産地のデボン州では、「クリームが先の方が美味しい。」と言いますし、もう一つの産地コーンウォール州では、「絶対にジャムが先で上にクリームを載せた方が美味しい。」と言って譲りません。
リンアンでは食べ比べた上でクロテッドクリームが上のコーニッシュスタイルをお勧めしています。
というのは、以前ブログにも書きました。 http://liyn-an.jp/wp/archives/126 が、このスコーンの食べ方が最近またイギリスで話題となり、ニュースにまで取り上げられています。

事の始まりはコーンウォール州にあるランハイドロックのナショナルトラストが、今月:3月8日、自身のfacebookページに、「ランハイドロックのホールレストランで. ビートン夫人とヴィクトリア女王で有名なアフタヌーンティーが、ビクトリア女王のレシピにインスパイアされたアフタヌーンティーが楽しめますよ」という記事を載せた事に始まります。
http://ow.ly/HtKv30j8SSf

それが、事も有ろうに載せた写真のスコーンはクロテッドクリームの上にジャム!のデボン式!!!
これに対してコーンウォール州の人達は激しく反発しました。

当然です。これがデボン州のナショナルトラストならいざ知らず、コーンウォール州のナショナルトラストなんですから。

翌日には修正した投稿と、お詫びの投稿を載せざるを得なくなります。これまた当然です。
http://ow.ly/Tf9i30j8T3p

さらには、「#ジャムファースト」のバッジを付ける事になります。
http://ow.ly/S0ny30j8TPq

これは、BBCニュースを始め、イギリスメディアの格好の話題となりました。
http://www.bbc.com/news/uk-england-cornwall-43363435

これに参戦したのが、今はアメリカ テキサス州 ダラスに住む元イギリス王室のシェフのダレン・マグレイディさんです。
彼はツイッターで、エリザベス女王がロイヤルファミリーが別荘として使っているスコットランドのバルモラル城のジャムを先に載せ、その上にクロテッドクリームを載せて食べているとつぶやいたのです。
https://twitter.com/DarrenMcGrady/status/974382318625411074

これまた格好のニュースとしてイギリスのメディアを沸かせました。
有名なタブロイド紙 The SUN https://www.thesun.co.uk/fabulous/food/5831370/queen-jam-first-scone-cornwall/
これまたタブロイド紙の The Mirror  https://www.mirror.co.uk/news/uk-news/cream-tea-debate-finally-settled-12203658 

ここまで来ると、デボン州の反応が気になりますが、とりあえずは The SUN に書かれた、「The revelation is perhaps no surprise – as the heir apparent, currently her son Prince Charles, is also the Duke of Cornwall.:これは驚く事ではない女王陛下の子息、次期国王のチャールズ皇太子はコーンウォール公爵だ。」というのが効いています。
そりゃ、コーンウォール公爵の家で、デボン式(クリームの上にジャム)は出来ないでしょう。 😆

20年前に乗ったブリティッシュエアの機内誌には、「固まったクリームをたっぷり載せるとクロテッドクリームは転げ落ちてしまいます。ですから、たっぷりのジャムで土台を作ってからクリームを載せます。」と書かれていました。
リンアンでは食べ比べてコーニッシュスタイルをお勧めしています。
前の記事にも書いた通り、あのホテル リッツは、「ジャムを先に載せるのが伝統的だと心得ています。」と回答しています。
それに加えて今回はイギリス王室がコーニッシュスタイルを取っている事が分かりました。

さて貴方はどちらがお好みですか?

もちろん、それが貴方の好みで有れば、クロテッドクリームの上にジャムを載せるデボン式でも、何の問題も有りません。

 - ケーキ